「『ユンボ持ってきて!』と言われたけど、どれがユンボなの?」 「教本ではバックホウと習ったけど、現場ではみんな違う名前で呼んでいる…」
現場に出始めたばかりのあなた。重機の名前が一つじゃないせいで、どの機械を指しているのか分からず混乱することってありませんか? 今まで重機に触れたことがない人にとって、似たような機械の使い分けや呼び方の違いは、本当に正しく覚えられるのか気になるところですよね。
実は、私も新人の頃は、職人さんによって呼び方がバラバラなことに戸惑い、別の機械を指差して笑われた苦い経験があります。
そんな、重機の名前の壁にぶつかっている人へ向けてこの記事を書きました。
私は現場監督として10年間、様々な重機と共に現場を作り上げてきました。それぞれの機械がどんな役割を持ち、どんな資格が必要なのか、プロの視点で分かりやすく解説します。
この記事を読めば、重機への理解が深まり、現場でのコミュニケーションが格段にスムーズになります。まずは「現場の主役たち」の名前をマスターして、現場通への第一歩を踏み出しましょう!
現場の主役!これだけは覚えるべき重機5選
バックホウ(通称:ユンボ、ショベルカー)

現場で最も見かける「土を掘る」主役です。
- 現場の呼び方: 職人さんは「ユンボ」と呼ぶことが一般的。地域やメーカーによって「ドラグショベル」とも呼ばれます。
- 役割: 土を掘る、トラックに積み込む、法面を整えるなど多才です。また、土を掘るだけでなく、先端を付け替えて(アタッチメント)コンクリートを砕いたりもします。

・グラップル
伐採した木材の集積、解体工事等に使用されます。

・ブレーカー
コンクリートや舗装の破砕や、解体工事等に使用されます。
ブルドーザー

前面の大きな板(ブレード)で「土を押し広げる」機械です。
- 役割: 運ばれてきた土を平らにならしたり、大量の土を力強く移動させたりします。
- ポイント: 足元がキャタピラなので、ぬかるんだ場所でもグイグイ進めます。
ブルドーザーは土を動かすだけでなく、冬の除雪作業でも大活躍します。あの強力なパワーは、重い雪をどけるのにも最適なんです。まさに一年中、私たちの暮らしを支えている重機ですね!
モーターグレーダー(通称:グレーダー)

車体の真ん中に回転・傾斜する長いブレード(刃)を持つ、「道路の仕上げ」のスペシャリストです。
- 役割:路盤の精密な整地 ブルドーザーが大まかに広げた土や砕石を、ミリ単位の精度で平らに削り取ります。道路のアスファルトを敷く前の「路盤(ろばん)」を、真っ平らに仕上げるのが主な仕事です。
- ここが凄い!:水勾配(みずこうばい)の作成 道路は真っ平らに見えて、実は雨水が流れるようにわずかに傾斜(勾配)がついています。グレーダーはブレードを細かく傾けることで、この「絶妙な傾き」を作り上げます。
- 現場の評価:オペレーターは「神様」 グレーダーの操縦は重機の中で最も難しいと言われています。前後の車輪の動きと、真ん中のブレードの角度を同時に操る姿はまさに芸術。ベテランのオペレーターは現場で非常に尊敬されます。
監督のワンポイントアドバイス: 最近では「3D-MC(マシンコントロール)」というGPSを使った自動制御システムを搭載したグレーダーも増えています。設計データに合わせて自動でブレードが動くので、より正確でスピーディーな施工が可能となり経験の浅い方でも操縦しやすくなっています。
ラフテレーンクレーン(通称:ラフター)

一つの運転席で「走行」と「クレーン操作」の両方ができる、小回りの利くクレーン車です。
- 役割:重量物の吊り上げ・配置 構造物の鉄筋、型枠、コンクリートバケット、大きな土留め材などを吊り上げ、正確な位置へと運びます。
- 名前の由来:不整地も走れる 「ラフ(Rough)=荒れた」「テレーン(Terrain)=地盤」という意味で、その名の通り、四輪駆動・四輪操縦で、現場内のデコボコ道や狭い場所でもスイスイ入っていけます。
現場監督が教える「ココが重要!」ポイント
- アウトリガーの張り出し クレーンの横から突き出す「足(アウトリガー)」が命です。
・監督の視点: 軟弱な地面だと、吊り上げた重みで足が沈んで転倒する恐れがあります。必ず下に「敷鉄板」や「敷角(しきかく)」を置いているか、全張り(最大に広げているか)を確認するのが監督の最初の仕事です。 - 旋回範囲の立入禁止 クレーンの後ろ側(お尻の部分)は、旋回するときに大きくせり出します。
・監督の視点: 「重機と構造物の間に挟まれる」事故が最も怖いです。カラーコーンなどで旋回範囲を囲い、人を入れない工夫が欠かせません。 - 玉掛け(たまかけ)との連携 クレーンはオペレーター一人では仕事ができません。
・監督の視点: 荷物をワイヤーで掛ける「玉掛け作業員」との合図(無線や手旗)が、安全の要です。
振動ローラー(通称:ローラー)

鉄の車輪(ドラム)を振動させ、その重さと振動で土や砕石をギュッと締め固める「転圧」のスペシャリストです。
- 役割:地盤をカチカチに固める ただ重い車で踏むだけでは、土の粒の間に空気が残ってしまいます。振動を与えることで、土の粒子をパズルのように隙間なく組み合わせ、強固な地盤を作り上げます。
- ここが凄い!:目に見えない「安心」を作る もし転圧が不十分だと、道路が完成した後に車が通った重みで沈んでしまい、アスファルトが割れたり陥没したりします。それを防ぐのが、このローラーの仕事です。
現場監督が教える「ココが重要!」ポイント
- 「層状転圧(そうじょうてんあつ)」の徹底 一気に1メートルの土を固めることはできません。
・監督の視点: 20cm〜30cmごとに土を敷き、その都度ローラーで固める。この「薄く重ねていく作業」をサボっていないか、しっかり見守るのが監督の腕の見せ所です。 - 適切な振動の使い分け 振動が強すぎると、逆に地盤を壊してしまったり、近隣の家を揺らして苦情に繋がったりします。
・監督の視点: 現場の状況に合わせて、振動のON/OFFや強弱を適切に切り替えているか確認します。 - 散水(さんすい)とのセット 土は乾きすぎていても、濡れすぎていても上手く固まりません。
・監督の視点: ローラーが走る前に、じょうろや散水車で適度に水をまき「最適な水分量」を保つことで、最高の締め固めが実現します。
監督からの「現場あるある」アドバイス: ローラーは「ゆっくり、一定のスピードで」走るのが基本です。もしローラーの手を抜けば、その上にどれだけ立派な構造物を作っても、後で必ず沈みます。『見えない部分にこそ魂を込める』のが土木の基本です。
覚えておきたい代表的な資格・免許
重機を扱うには、大きく分けて「現場で作業するための資格」と「公道を走るための免許」の2種類が必要です。
車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)技能講習
【対象重機:バックホウ、ブルドーザー、モーターグレーダー】 土木現場で最も汎用性が高い、いわば「三種の神器」を操るための必須資格です。機体重量3トン以上の重機を運転できます。これを持っていないと、土工の現場は始まりません。
締固め用機械運転業務 特別教育
【対象重機:振動ローラー】 ローラーを使って地面を固める(転圧する)ために必要な資格です。重量に関係なく、ローラーを扱う場合はこの教育を受ける必要があります。「転圧のプロ」への第一歩です。
移動式クレーン運転士免許
【対象重機:ラフテレーンクレーン】 吊り上げ荷重5トン以上のクレーンを操作するための「国家資格」です。非常に責任の重い資格で、取得には知識と実技の両方が求められます。現場の「吊り荷作業」の司令塔です。
玉掛け(たまかけ)技能講習
【関連作業:クレーン作業全般】 重機そのものの運転ではありませんが、クレーンのフックに荷物を掛けたり外したりする作業に必要です。ラフターを呼ぶ現場では、この資格者がいないと作業が法的に進められません。
大型特殊免許
【対象:公道を走るすべての重機】 重機を現場から現場へ、あるいは自走して公道を移動させるために必要な「運転免許」です。
- 注意点: これだけでは現場で「作業(掘る、吊るなど)」はできません。公道を「走る」ための免許と、現場で「作業する」ための資格、この両方が揃って初めて一人前です。
💡 現場監督からのアドバイス
「現場では、作業前に必ず『作業員名簿』と『資格証のコピー』をチェックします。もし無資格で運転させてしまうと、監督であるあなたの責任問題にも発展します。『どの重機にどの資格が必要か』を正しく把握しておくことは、自分と仲間を守る大切なお仕事ですよ!」
まとめ:重機を知れば、現場の動きが見えてくる!
今回は、土木現場の華である「代表的な重機5選」と「必要な資格」について解説しました。
最初は「ユンボ」や「ラフター」といった呼び名に戸惑うかもしれません。しかし、それぞれの重機が持つ役割を知ることで、「なぜ今、あの機械が動いているのか?」という現場の流れが少しずつ理解できるようになります。
現場監督として大切なのは、ただ名前を覚えることではありません。
- 重機ごとの「死角」を知り、作業員の安全を守ること
- 資格の有無を確認し、ルール通りの施工を徹底すること
これこそが、10年選手の私たちが日々積み重ねている「現場管理」の正体です。
重機は、私たちの何百倍もの力を貸してくれる頼もしい相棒です。正しい知識を持って彼らと向き合えば、現場仕事はもっと面白く、もっとダイナミックになります。
「あの重機、かっこいいな」という純粋な興味からで構いません。まずは現場で動く機械をじっくり観察することから始めてみてください。その積み重ねが、あなたを一流の技術者へと成長させてくれるはずです!
次回の攻略ガイドもお楽しみに! [【コンクリート編】ドロドロの液体がカチカチに?現場の要「生コン」の基礎知識]



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