「生コン車が来たけれど、まず何を確認すればいいの?」 「バイブレーターをかけすぎて先輩に怒られた。適切な時間が分からない…」
土木の現場で最も「一発勝負」の緊張感が漂うのがコンクリート打設です。ドロドロの液体がいずれ巨大な構造物へと姿を変えるプロセスは、初心者にとって分からないことだらけで不安を感じるものですよね。 特に、コンクリートは一度固まってしまうとやり直しがきかないため、「自分の知識不足で失敗したらどうしよう」とプレッシャーに感じている若手監督も多いはずです。
実は、10年選手の私も新人の頃は、コンクリートは固りさえすれば良いのだと勘違いし、夏場の現場でひび割れを作ってしまった苦い経験があります。
そんな、生コンの扱いに戸惑っている新人さんにおすすめなのが、この記事で解説する「生コンの基礎知識」です。この記事を読むことで、現場に届いてからの制限時間や、品質を守るための検査・打設のコツが明確にイメージできるようになります。
私は10年間、数々の打設現場を指揮し、コンクリートの「生き物」としての難しさと面白さを肌で感じてきました。その経験をもとに、現場ですぐに役立つ管理のポイントを分かりやすく伝授します。
構造物の寿命を決める大切な一歩を、一緒に踏み出しましょう!
生コンは「生き物」!現場に届いてからの時間制限

現場に届くコンクリートは「生コンクリート」、通称生コンと呼ばれます。文字通り「生きて」おり、練り混ぜられた瞬間から刻一刻と硬化(化学反応)が始まっています。

生コン車(アジテータ車)が来たら、まず伝票を見て注文した配合と同じものか確認するんだよ
ここで絶対に覚えておくべきなのが「120分ルール」です。 JIS規格では、運搬車が練り混ぜを開始してから、現場で打ち込みを完了するまでの時間は2時間(120分)以内と定められています。
夏場の暑い時期(外気温25°を超えるとき)は暑中コンクリートという扱いになり、練り混ぜから打込み完了までの時間は1.5時間以内となります。現場の状況を見て生コン車の配車ペースを調整するのが腕の見せ所です。時間が過ぎた生コンは、品質低下に繋がるため、勇気を持って「返品」する判断も必要になります。
これだけは覚える!受け入れ検査の3点セット
生コン車が現場に到着したら、まず「設計通りの品質か」を確認する受け入れ検査を行います。初心者がまず覚えるべきは以下の3点です。

- スランプ(柔らかさ): 専用のコーンに生コンを詰め、コーンを引き上げた時にどれだけ下がったかを測ります。数値が大きいほど柔らかく、施工しやすくなりますが、強度のバランスが重要です。
- 空気量: コンクリートの中に含まれる空気の割合を測ります(標準は4.5%前後)。適度な空気は、冬場の凍結によるひび割れを防ぐ「クッション」の役割を果たします。
- 塩化物含有量(カンタブ): 生コンに含まれる塩分濃度を測ります。塩分が多いと中の鉄筋が錆びてしまうため、非常に重要な検査です。
「打設」のコツ:ジャンカを作らないために

コンクリートを型枠の中に流し込む作業を「打設(だせつ)」と言います。ここで最も恐ろしい失敗が、表面に石が露出してしまう不具合「ジャンカ(豆板)」です。
これを防ぐための必須アイテムが「バイブレーター」です。

- バイブレーターの基本: コンクリートを流し込んだ後、振動を与えて空気を抜き、隅々まで生コンを行き渡らせます。
- 注意点: 同じ場所に長く当てすぎると、砂利と水分が分離してしまい、逆に強度が落ちます。「1箇所あたり10秒〜15秒程度」を目安に、垂直に抜き差しするのが鉄則です。
仕上げが肝心!「養生(ようじょう)」の重要性

「打ち終わったから終わり!」ではありません。実は、打ち終わった後の「養生」こそが構造物の寿命を決めます。
よくある勘違いが、コンクリートは「乾燥して固まる」と思われていること。正しくは、水とセメントの「化学反応(水和反応)」で固まります。
- 湿潤(しつじゅん)養生: 急激に乾燥すると、ひび割れの原因になります。散水したり、シートを被せたりして、コンクリートを「濡れた状態」に保つことが、強く美しいコンクリートを作る最大の秘訣です。
コンクリートはやり直しがきかない一発勝負の作業です。だからこそ、事前の準備と、打設中のチームワークが欠かせません。まずは生コン車が来た時に、伝票をチェックして『配合』が間違っていないか確認するところから始めてみましょう!
まとめ:コンクリートを制する者は、現場を制する!
今回は、土木現場の要である**「生コンクリートの基礎知識」**について解説しました。
「生コンは生き物」という言葉通り、コンクリートは現場の気温や湿度、そして私たち監督の段取り一つで、その品質が大きく変わります。 初心者のうちは、刻々と固まっていく生コンを前に焦ってしまうこともあるかもしれません。しかし、今回お伝えした以下のポイントを思い出してください。
- 「120分ルール」を意識したスピーディーな段取り
- 受け入れ検査で品質の「門番」になること
- バイブレーターと養生で、コンクリートの「一生」を守ること
これらを守ることは、単なる作業ではありません。数十年、数百年にわたって人々の暮らしを支える構造物の「命」を吹き込む仕事なのです。
私が10年の経験で学んだのは、完璧なコンクリートを打てた時の達成感は、何物にも代えがたいということです。失敗を恐れすぎず、まずは現場で生コンの感触を確かめ、ベテランの職人さんから「打ち方のコツ」を教わってみてください。
この記事が、あなたの作る構造物が100年先まで愛されるための第一歩になれば幸いです。一緒に、誇れる仕事をしていきましょう!
次回の攻略ガイドもお楽しみに! 【測量編】現場の座標を読み解く!トータルステーションとレベルの基本


コメント