「図面を見ても専門用語ばかりで、何から手をつければいいのか分からない…」 「先輩の指示に返事はしたけれど、実は言葉の意味が曖昧なまま動いている…」
土木の現場に配属されたばかりのあなた。基本用語が理解できないせいで、現場のスピードについていけず、不安を感じることってありませんか? 初めて現場に立つ人にとって、聞き慣れない言葉の壁は高く、自分に務まるのか気になるところですよね。
実は、現場監督歴10年の私も、新人の頃は「床掘(とこぼり)」と「掘削(くっさく)」の違いすら分からず、立ち尽くした経験があります。
そんな現場の言葉に戸惑う新人さんにおすすめなのが、この記事で紹介する「専門用語攻略ガイド」です。この記事を読むことで、土を扱う作業の基本が整理され、現場での指示が驚くほどスムーズに理解できるようになります。
私は10年間、数々の現場を指揮し、多くの新人を指導してきました。その経験から、初心者が絶対に見落としてはいけない「専門用語」を厳選して解説します。
この記事を読めば、現場での「分からない」が激減し、自信を持って作業に取り組めるようになります。まずは「土工」の基本をマスターして、現場での信頼を勝ち取る第一歩を踏み出しましょう!
土工の基本!これを知らないと始まらない用語
まずは、土を動かす作業で必ず出てくる3つの言葉を解説します。
床掘(とこぼり)
構造物(コンクリートの壁や管など)を作るために、人力や機械で地盤を計画の高さまで掘る作業のことです。
・床掘作業の主なステップ
- 丁張り(ちょうはり): 杭と板を使って「ここまで掘る」という目印を現場に作ります。
- 床掘・床付け(とこづけ): 重機で掘り進め、最後はスコップなどを使って人の手で平らに仕上げます。この「平らに整える最終仕上げ」を床付けと呼び、構造物の安定性を決める非常に重要な工程です。
・土木における「掘削」と「床掘」の違い
土木現場では、この2つを明確に使い分けます。
- 掘削(くっさく): 山を削って道路を通すなど、「元の地盤を削って終わり(埋め戻さない)」作業。
- 床掘(とこぼり): 構造物を置くために掘り、後で「土を埋め戻して元通りにする」作業。
・安全と注意点
土木での床掘は数メートルの深さになることも珍しくありません。
- 崩落防止: 掘った側面が崩れないよう、鉄の板(矢板)などで壁を作る「土留め」を行います。
- 埋設物への注意: 住宅街のような場所では、地面の下に古いガス管や水道管が眠っていることがあります。重機で壊さないよう、慎重に掘り進める必要があります。
・豆知識
掘りすぎてしまった場合(過掘り)、ただ土を戻すだけでは地盤が弱くなってしまいます。そのため、良質な砂利や砕石を入れたり、コンクリートで埋めたりして強度を確保し直す必要があります。
埋戻し(うめもどし)
構造物が完成した後、周りに土を戻して元の地面の高さにすることです。
・埋め戻し作業の主なステップ
- 清掃・片付け(ゴミの除去)
土を入れる前に、掘った穴の底(床付け面)をきれいにします。
- 木くずやゴミの除去: 木片などが混じると、将来腐って空洞になり、地盤沈下の原因になります。
- 溜まった水の排水: 水が溜まったまま土を入れると、ドロドロの「泥ねい(でいねい)」状態になり、強度が全く出ません。ポンプなどでしっかり排水します。
- 材料の投入
一度にすべての土を入れず、1層の厚さを20cm〜30cm程度にして土を投入します。
- 使用する土(埋戻し材)は、石が大きすぎず、適度に湿り気のあるものが理想的です。
- 重機(バックホー)で平らにならします。
・安全と注意点
- 重機との接触防止: 埋め戻しはバックホー(ユンボ)が土を投入し、そのすぐ側で人がスコップを持ったり、構造物の位置を確認したりします。重機の「死角」に入らないよう、合図者を配置するか、重機の作業半径内には絶対に入らないことが鉄則です。
- 構造物への偏圧(へんあつ): 新しい壁(擁壁など)の片側だけ一気に土を高く入れると、土の重み(土圧)で壁が押され、傾いたり倒れたりすることがあります。両側を均等に、あるいは少しずつバランスよく埋めるのが基本です。
転圧(てんあつ)
土や砕石に圧力をかけて、空気を追い出し、地盤を強く固める作業です。
・転圧作業の主なステップ
- 適切な水分量の確認: 土が乾きすぎている場合は、じょうろやホースで軽く水をまきます(適度な湿り気があるほうが、土の粒子が動きやすく密着します)。
- 機械による締め固め: 転圧機(ランマーやプレート)を動かします。
- 往復してムラをなくす: 同じ場所を3〜4回、重なるように往復して、踏み残しがないようにします。
- 次の層へ: しっかり固まったら、またその上に土を20cm載せて、同じ作業を繰り返します。
・安全と注意点
- 機械の跳ね返りに注意: 「ランマー(上下に跳ねる機械)」は非常に力が強く、石などに当たると予想外の方向に飛び跳ねることがあります。しっかりハンドルを保持し、足元を挟まれないように注意が必要です。
- 振動工具取扱いの制限: 転圧機は激しい振動を伴います。長時間使い続けると「白蝋病(はくろうびょう)」などの振動障害を引き起こす可能性があるため、作業時間を守り、適度に休憩を挟むことが法律で定められています。
- 構造物のキワを攻めすぎない: 構造物(コンクリートの壁など)のすぐ横を強い力で叩きすぎると、完成したばかりの構造物を傷つけたり、押し出したりしてしまうことがあります。端のほうは小型の機械や手作業で慎重に行います。
・豆知識
雨の日の翌日はNG: 土が水を吸いすぎて泥の状態(泥ねい化)になっている時に転圧しても、グニュグニュ動くだけで全く固まりません。これを「こね返し」と言い、逆に地盤を弱くしてしまうため、乾くまで待つのが鉄則です。
まとめ:土工の基本をマスターして現場の信頼を勝ち取ろう!
今回は土木工事の土台となる「床掘・埋戻し・転圧」の3つの用語について解説しました。
一見すると「ただ掘って、土を戻して固めるだけ」の単純な作業に見えるかもしれません。しかし、今回お伝えしたように、床付けの精度や、ゴミ一つない清掃、そして丁寧な層状転圧の積み重ねこそが、何十年も壊れない頑丈な構造物を作る「現場のプライド」です。
新人のうちは、重機の動きや先輩の指示に圧倒されることも多いでしょう。 でも、まずは今回の3つの言葉を意識して現場を眺めてみてください。
- 「今やってるのは掘削じゃなくて床掘だな」
- 「あ、先輩が埋戻しの前にしっかり清掃してるな」
そう気づけるようになるだけで、あなたの現場力は確実に一歩前進しています。
最初は分からなくて当たり前です。10年選手の私だって、最初はそこからのスタートでした…
このブログでは、これからも現場で役立つ「生きた知識」を発信していきます。一緒に少しずつ、地図に残る仕事を楽しんでいきましょう!
あわせて読みたい記事: [【重機編】ユンボ?バックホウ?現場で飛び交う機械の名前をマスターしよう!]



コメント